このようなやり方で300年の人生を生きていく あたいのルンルン沖縄一人旅
ISBN:4990263707
出版社:キョートット出版
Author:小川 てつオ 
Media:単行本(ソフトカバー)
価格:1,050


詳細情報
出版社/著者からの内容紹介
居候ライフで注目され、現在公園でホームレス生活をし、そこでカフェを運営しているアーティスト小川てつオ(34)。19歳の時にやったことのない似顔絵描きでお金を稼ぎながら沖縄を旅します。その当時の日記を収録しました。そして、10年後また、沖縄を訪ねます、、、

内容(「MARC」データベースより)
1989年12月から1990年3月まで、沖縄に旅行し、似顔絵屋を開業した著者の旅日記。10年後の沖縄旅行も収録。

出版社からのコメント
恋は無いけど、おばさん、おじさん、おじい、おばあ、に怒られ、ほめられ、愛される旅。
様々な人との出会いが文章と似顔絵で生き生きと描かれる。
10代から60代まで、幅広い年齢層の方から、良かった、面白かった、友達、子どもに読ませたい、と感想をいただいています。それは、この作品に普遍的な魅力があるからだと思います。著者のコミュニケーションの力、受け入れる沖縄の人々、それは、とても豊かなものです。
世の中つまんなくないなあ、とかんじているあなた、是非ご一読を。やっぱり面白いですよ。
表紙の絵は、大阪在住の画家、つき山いくよさん。19才の小川てつオのイメージを折り込み広告の裏にさらっと描いてくれました。

著者からのコメント
 一九歳の時のぼくは、全くもって、はばたきたかった。それも当然のこととして。なぜなら、「学校」というところで息を詰めるような数年間を送っていたから。この沖縄旅行を通じてぼくは、社会の肌合いの多様さを感じていた。人の顔が見えてきたのだ。ああ、全く似顔絵とは、人の顔を見るということだ。ぼくが無意識に選んだ「似顔絵」とは、ぼくの「社会」への踏み出し方だった。社会とは、人が作っているのだから、隙間やデコボコが常にあるし、一つの社会ではなく無数の社会がある。
 ぼくがホームレスとして「ホームレス」と呼ばれる人たちの間に暮らして二年になる。ここも一つの社会である。この今の社会の落ちこぼれたちが作る社会には、可能性がたくさんあると思う。自分のテント前につくったカフェ(代金なし、物々交換で営業)は、公園の住人も住人以外の人も訪れる。ぼくは、お茶を飲み、おしゃべりをして毎日を過ごしている。そしてやはりカフェに来た人の似顔絵を描いては似てないと文句を言われている。

著者について
詩人、パフォーマー、DJ、ダンサー、イソーラー、そして、ホームレス。表現、社会、生活をめぐって。

1970  東京都羽村町(現羽村市)生まれ
1990  沖縄似顔絵旅行
1990- 芸術グループ、「ロシアノーパンギャルズ」を組織し、路上でライブ(アカペラパンク猿)・電車で踊る(車内ディスコ)等のハプニング芸術活動を行う。
1991- ばかばかしいことのなかに本質がある、社会に対してパンツを脱ぐ「ノーパンアート」を提唱。「じゃけん」「プール」「記帳」と次々作品を発表。
1995- 「岡画郎」を岡ガロウ、水口孝一と共に立ち上げ、様々な展覧会を企画運営。岡の部屋の大きな窓に展示し、道から双眼鏡で見るギャラリー、最初の展示は「窓際族」。
1997- 「居候ライフ」10日から1ヶ月ごとに家をかえる居候生活を始める。居候先の人とつくるフリーペーパー「居候ライフ」の発行を中心に、生活と芸術の様々な試行を6年続けた。「こっそりアート」(居候先を立ち去るとき、部屋にこっそり作品を残していった)「はいろうぜ」(お風呂にみんなで入って演奏するバンド)
2003- 代々木公園でホームレス生活をはじめ、そこで絵のあるカフェ「エノアール」を運営。

抜粋
 南部の方へ車に乗っけてくれるといった人はこないし、テントは乾かないし、何だか、どっと疲れて何もやる気がしない。昼は、もらったコロッケですます。

 糸満という那覇からバスで一時間の小さな漁村へ行く。

 だれも似顔絵を頼まない。が、女子中学生に受けがいい。
 スケッチを数枚する。女の人の股を形どったとされる沖縄の墓にはバカでかいのが多い。
 銭湯で、テントをはれる場所をたずねると、そこへちょうどやって来たおじいさんがいて、その人の家に泊まる事になる。
 おじいさん(タクシーの運転手)が、幽霊の話をたくさんしてくれる。また、那覇にも糸満にも首里にも、至る所に「石敢當」 と彫り込んであるのだが、それは、一種の魔除けで「石とたたかえ」(人間とたたかうな)という意味らしい。

 老人の定番、戦争の話もたっぷりきく。お礼に似顔絵をかく。

 老人、「色が濃すぎる」と不満足そう。

12/30

 とおい国から、やってきた
 おちゃめなモンキー・ピグミーくん!
 くるくるしっぽをまきあげて
 ユラユラユラユラ
 ブランコあそび
 恥ずかしがり屋のピグミーくん
 あなたとお話ししたいんだって

と語るピグミー・モンキーの他、家の中に、巨大硬貨や、様々な時計、人形、おもちゃ、写真、工芸品が入り乱れ、ものすごいアナーキーとカオスがうずまいている。
 しかし、庭を見た時、私は言葉を失った。ごまんと積み上げられた巨大な廃棄物の間や上を、あひる・にわとり・犬・猫、が動き回っているのだ。
 もう一日、泊まる事になる。三〇〇円出せば、お腹いっぱいたべられる沖縄の食堂は、えらいと思う。
 銭湯をただにしてもらう。

12/31

 糸満市場で、似顔絵描きをやる。人は集まってくるのだが、いざ声をかけると、だれもが断る。恥ずかしいようだ。
 結局、一人もかけないまま、むなしく、島袋家に帰る。
 じいさんに夕飯をおごってもらう。その後、じいさんと二人で銭湯へ行く。
 この銭湯は、深夜になると幽霊が出るため、夜九時までしか営業していない。月に一度は、坊主が来てお経をあげる、ありがたいお湯に一時間入る。
 じいさんと将棋をさしつつ年を越す。新年のあいさつと誕生日(七六才)の祝言をする。

1/1

 朝から雨が降り続く。今日、出発の予定をやむなく延期する。浪人生の友人数人に向けて年賀状をだす。五時ごろ、となりの家の人がごはんと天ぷらと煮物を持ってきてくれる。

(島袋じいさんの日記より)

 実は満76であるが、切り捨て38歳とし、その後は毎年1才づつ切り捨てることにしている。(平成二年、元旦)

 一二月二五日から二九日までの日記を付ける。これからは毎日つけようと思う。あと、年賀状は「沖縄は、夏だ。うらやましいだろ。」と始まるのだが、本当いうと、かなり寒い。
 じいさんは、将棋に負けてかなりプライドを傷つけられたらしく、「こんな道楽やらん。」と世界と政治の退屈な話を延々とする。

付記 便所の跳ね返りには悩まされた。

1/2

 なおも雨が降り続く。島袋家について、なんと五日目になる。いい加減、潮時のような気がして、少しの晴れ間をついて、じいさんに別れを告げ、名城に向かって歩きだすが、すかさずまた、雨が降ってくる。

 名城に近づくにつれ、あたりは一面のサトウキビ畑になる。浜を歩くが、さすがに水はきれい。ハブが一匹、圧死している。漁師や釣り人に似顔絵商売をするが、手応えはない。名城ビーチにいる二人に声をかけると、一人がOKする。

 一〇〇〇円もらう。この二人とウイスキーを飲みつつ話をする。
 一人は先に帰り、登さんの家へ泊まることになるが、その前に、先に帰った人(たしか太田さん)の家に寄る。太田さんの家には客がおり、すでに太田さんは酔っている。
 あたいは、お腹がすいているので、バクバク料理を食べる。そうこうするうちに、太田さん、目をむいて怒りだす。
「何だ、お前。一九才といえば、ガキだよ。ガキはガキらしく酒をのめ。」
「何だ、お前。お前は、さっきから何をしゃべった?(太田さんの奥さんは、エバラ焼肉のたれに出てくる女優に似ている、とか話していた。)それが、目上に対する態度か。俺は四二才だぞ。四二才が、一九才のガキのところまでおりていって、話をしているのに何だ、その態度は。えっ。」
「似顔絵描きだぁ?世の中を甘くみてるんじゃねえか!俺は、お前みたいな奴が大嫌いなんだ。帰れ。」
「えっ、お前は、何しにきた。何しにきたんだよ!顔もみたくねえ。帰れ。早く帰れ。この家の主は、俺なんだ。」
 それで、あたいが「じゃあ、帰ります。」というと、胸ぐらをつかんできたのだが……。結局、太田さんに、何も反論しなかった。

 それは、太田さんが酔っぱらっていたから(だからこそ本音をしゃべったのだろうが)ではなく、もちろん、反省や納得をしたからではなく、このような事に、あきあきしているからだ。また、このような事が、三百年の人生にわたって続くだろうと思うと、うんざりしたためだ。
「年下は年下らしく、年上を尊敬しろ。」というのが、太田さんのいいたかった事だが、それをあたいは、絶対納得も理解も出来ない。また、この年下・年上が、男・女、地位、金などに変わっても同じ事である。こんな事を九〇年になっても書かざるえない事は、とにかく、うんざりする。だいたい、中学に入って始まる先輩・後輩というのが、諸悪の根源だと思う。あたいは、先輩という言葉が口から出なくて、テニス部をすぐに止めてしまったが、すがすがしい先輩・後輩関係ほど、気持ち悪いものはない。あたいは、高校生のころ中学生の女の子数人に、常に敬意を持って接していたのだが、そうすると、どうしても、ギクシャクした感じになってしまうのだ。先輩・後輩という中で、先輩だけでなく後輩と見下される方も、安心するために、喜んでそれを受け入れているのである。また、太田さんが怒っている間、あたいは、中学三年の時、担任が、「お前は最低だな。」といって、「お前のほうが最低だ。」と言い返した後の二時間に及んだ不毛の議論を、これまたうんざり思い出していたのだが、それを書くと長くなるので、やっぱり止めておこう。
 真栄田さんの家に行き、夕ご飯をいただいて、お父さんの似顔絵をかいてねる。

amazonで購入


その他の一人旅の本
  アメリカ恥かき一人旅 地方・小出版流通センター
  やるなら今しかねえ! 北米大陸バイク一人旅 吉備人出版
  一人旅は人生みたいだ アーツアンドクラフツ
  緑のアル・ヤマン 知られざるアラビア半島一人旅 佐藤敦子写真集 光村印刷
  飛島ゆらゆら一人旅 無明舎出版
  ぶらりベトナム なりゆきまかせの一人旅 日本機関紙出版センター
  北海道よくばり一人旅 利尻・礼文・釧路湿原 文芸社



一人旅 温泉 部屋食